お盆に思う (2020.8.13)


先月の初め、人吉・球磨地方に大洪水が発生し、多くの犠牲者を出して初めてのお盆。

例年のとおり、人吉・球磨地方にある家内のふるさとに、お墓参りに行ってきました。コロナ過を避けるために、極力人とは会わず、サッと行ってサッと帰る−−を合い言葉にして・・・。


高速道路は先月の10日に走って以来一ヶ月ぶりです。

新聞によると、沿岸道路(国道219号線)は多くの個所で道路が決壊して不通となったため、球磨村の方やボランティアの方が思うように村へ行き来することができないので、高速道路の坂本パーキングエリア(PA)から一般道路に出るようにNEXCOが協力しているとのこと。

ワタシはこの記事を見て、坂本PAからどうやって一般道路に出ているのだろうと前から疑問に思っていました。

坂本PAは自動販売機とトイレしかなく、ほとんどここを利用する人がいませんので、ワタシたちは南に移動するときははなるべくこのPAを利用するようにしています。

ですから、歳を取っても好奇心だけは旺盛なワタシは、坂本PAに着くと、早速その様子を見に行きました。


坂本パーキングエリアの下り線の入り口


ワタシが写真を撮っている1〜2分の間にも、二台の車が坂本PAからUターンして、一般道路に入って行きました。


警備員のお兄さんに声をかけ、話しを聞いたところ、昨日から沿岸道路が仮開通(坂本町では沿岸道路の対岸の坂本町の集落を通ります。細い道が続き、許可された車両だけが通ることができるそうです*1)したので、車の量は減ったし、今日はお盆なので工事の車両が通らないので、いつもよりは少ないとのことでした。

*1 熊本日日新聞社の動画「熊本豪雨 国道219号ルート仮復旧」はこちら

それでも、この出口ができたのでずいぶん皆さんが助かっているようでした。


警備員のお兄さんはもっと話したさそうでしたが、遅くなるといけませんので、「お疲れさまです」と挨拶して坂本PAを後にしました。


人吉インターで高速を降り、中心街を通ってみました。

先月の8日に、徒歩で見て回ったとき以来です。

九日町を東西に走るメインストリートをゆっくり行くと、左手にホテルあゆの里が見えました。このホテルは今後被災者の為の施設を兼ねてお役に立つよう、国の援助を受けて復旧されると聞いています。

右側には 肥後銀行人吉支店も見えます。

道路周辺は、すっかり片付いているようです。


九日町の交差点です。

カメラを少し望遠にすると、先の方に人吉温泉病院の空中渡り廊下が見えます。


九日町西側の繁華街もきれいになっています。

被災当時窓と思った真っ黒だったものは、広告用のディスプレイだったんですね。

ここ被災地でも、コロナ対策は重要な課題です。


商店街は片づいていますが、人気がほとんどありません。

お盆のせいだけならいいのですが・・・。

ここも他の地方都市と違わず、高齢者の方の個人経営が多いので、このまま廃業する方も多いと聞きます。

今後、人吉の街はどう復興していけるのでしょう。


墓参りを済ませ昼食を取った後、ワタシたちは「サッと帰る」の合い言葉のとおり、帰路につきました。

人吉・球磨から熊本市に帰るには、これまでは高速道路の他に沿岸道路がありました。またこれらの他に、五木の子守唄で有名な五木村を通るコースがあります。

沿岸道路は今は一般車両は通ることができませんので、五木村を通って帰ることにしました。

今回は、決して高速料金を浮かすためではなく、純粋に五木村の自然を久しぶりに味わうためです。


五木村へ入る道は、ダム建設が中止となったことで有名になった川辺川に沿って続いています。

ダム建設の付帯工事として、今は広い立派な道路ができていますので、とても快適なドライブをすることができます。

「ダム建設が中止にならんかったら、今度の球磨川の大氾濫はなかったかもしれんね」

そういう会話をしながら、最後の清流の一つと言われた川辺川を遡っていきます。

ところどころで流木が見られます。

この川でも、先月の豪雨で氾濫した個所も出たのでしょう。


五木村の中心地に高々と架かる頭地大橋を渡ると、道路は川辺川の支流五木小川の岸を遡っていきます。

暫く走ると川幅が狭くなり、水量も少なくなって、岩と岩とに囲まれた浅瀬では子ども連れの家族が水浴びをしている風景も見られます。

のんびりとした、山里の風景です。

しかし、快適なドライブをしていると、突然片側通行の信号に出くわします。


大通峠を通るまでの登りの道路で、片側通行の信号に5〜6個所は出会ったでしょうか。

窓からちらっと外を見ると、道路の一部が崩落していたり、道路に亀裂が入ったりしており、このあたりでも豪雨の被害が大きかったことを物語っています。

今回の想定外の豪雨は、ワタシたちの知らないところでも、あちこちで被害をもたらしているのでしょう。


球磨川周辺の地域の方々の水害からの復興、話題に上がってきた川辺川ダム建設の再考、それに伴う五木村の村民の方々の葛藤、熊本地震では余り被害が大きくなかった県南にも、新たに多くの問題が突きつけられています。

こうやって、ワタシたち熊本県民は、強くなっていくのでしょうか。

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