新型コロナウィルスのせいで自粛が叫ばれている中、皆さんどのようにお過ごしでしょうか。
ワタシはというと、お客さんの足も止まり(田舎で開業をしていると、都会のように急ぐ登記というものはそんなに多くはありません。不要不急の外出はしないということを守ろうとすると、そうなるのは当たり前ですが・・・)、家裁の調停も緊急事態宣言が終了するまで原則延期となり、暇を持て余しつつあります。
まぁ、こんな時だからできることもあるようでして、久しぶりにホームページをいじっています。調査士報告方式が始まったのが昨年の11月ですから、ホームページをいじるのは半年ぶりのことです。
やはり・・・見直してみるといろいろほころびが見えてきます。
でも、一つほころびを直そうとすると次から次へとほころびが目の前に現れてきますので、今は過去を振り返ることは辞めにして未来に向かって進もうと考え方を変え、これらは無視することにします。
さて先日、70歳を少し超えられた土地家屋調査士の先生から、初めてのメールを頂きました。
先生は、今も電子図面を添付してオンライン申請をなさっているそうですが、今度調査士報告方式にチャレンジなさるということで、頭が下がる思いでメールを拝見しました。
そのメールの中で、申請用総合ソフトに今度新たに電子署名の機能がプラスされたことに触れられていて、ワタシは先生からのメールで、初めて申請用総合ソフトが大きくバージョンアップされたことを知りました。
今回申請用総合ソフトに新たに加えられた電子署名の機能には、PDFファイルに電子署名する機能と、電子図面(TIFFファイルやXMLファイル)に電子署名する機能の、二つの機能が用意されています。
このうち、電子図面に電子署名する機能は、日調連が提供している「XML署名ツール」とほぼ同じで、少しだけ違うのは、電子署名をすることで新たにフォルダが作成され、その中に電子図面とXML署名ファイルが格納される仕組みになっていることです。
「電子図面フォルダ」の中身 = 「電子図面」+「XML署名ファイル」
ですから、今までのように申請用総合ソフトに「電子図面」と「XML署名ファイル」の二つのファイルを添付するのではなく、一つの「電子図面フォルダ」を添付することになります。
そのため、今回のバージョンアップに伴い、「フォルダ」をそのまま添付できる機能が新たに付け加えられています。*1
*1
実際に申請しようとして準備をしていたところ、「フォルダ」をそのまま添付できるのはPDFファイルだけで、図面は今まで通り図面ファイルと電子署名ファイルをファイルごとに添付しなければならないことがわかりました。(2020.4.27)
まぁ、これだけならビックリするような出来事ではないのですが、一緒に付け加えられたもう一つの機能には、正直驚かされました。
これまで長い間ワタシは、PDFファイルに電子署名する方法は、PDFファイルの内部に直接電子署名をする所謂「PDF署名」という方法しかないと思っていました。しかし、今回加わった機能は、電子図面に対してする電子署名と全く同じ方法−−−そう、PDFファイルにXML署名ファイルを追加添付する方法による電子署名でした。
「こぎゃん方法が、許さるっとだろか?」
まさしく青天の霹靂とはこのことで、ワタシはドキドキしながら「登記・供託オンライン申請システム」のホームページの「オンライン申請ご利用上の注意」というページをあわてて見てみました。
そこには、次のような説明がありました。
PDFファイルに電子署名を付与する方法は,以下の2通りあります。
- 署名付きPDFフォルダ
- 電子署名付きPDFファイル
※ 署名付きPDFフォルダとは,PDFファイルと署名情報ファイルを格納したフォルダのことです。署名付きPDFフォルダは,電子署名を付与したPDFファイルとして扱われます。
※ 電子署名付きPDFファイルとは,電子署名が付与されたPDFファイルのことです。
ここで二番目に紹介されている「電子署名付きPDFファイル」とは、ワタシが今までずーっと唯一の電子署名の方法と思い込んでいた、所謂「PDF署名」をされたPDFファイルのことです。
今回新たに加えられたのが、一番目に紹介されている「署名付きPDFフォルダ」というものです。
赤い文字で説明されているとおり、これは、署名が必要なPDFファイルと、このPDFファイルに電子署名をした結果作成された署名情報ファイル(XML署名ファイル)の二つのファイルが格納された「フォルダ」のことです。
わかりやすく表示すると次のようになります。
「署名付きPDFフォルダ」の中身 = 「PDFファイル」+「XML署名ファイル」
これはどこかで見たことがありますね。
そう、まさしく電子図面にするXML署名と全く同じ方法です。
ワタシはこのことを知って、一瞬目眩がしました。世の中知らないことがいっぱいある・・・。
目眩を覚えながらも、ワタシは知的好奇心に駆られて、PDFファイルに添付されているXML署名ファイルと電子図面に添付されているXML署名ファイルを調べることにしました。
添付されているXML署名ファイルはテキストファイルですので、テキストエディタで内容を見ることができます。
ワタシは、電子図面に添付されたXML署名ファイルと、PDFファイルに添付されたXML署名ファイルをテキストエディタで開いて比較してみました。そうすると、両方とも全く同じ構造になっていることがわかりました。
早い話が、電子図面(TIFFファイルやXMLファイル)であろうとPDFファイルであろうと、電子署名の構造は全く同じだと言うことです。
これまで偉そうに、PDF署名がどうのXML署名がどうのと言っていたワタシは、このことを知って深く恥じ入るのでした。
ワタシが偉ぶろうが恥じ入ろうが、そんなことはどうでもいいのですが、いろいろ試してみて、この「署名付きPDFフォルダ」が利用できることになって、私たち土地家屋調査士はとても助かることがわかりました。
というのは、この機能を使えば、複数のPDFファイルに一括して電子署名をすることができるからです。
昨年、調査士報告方式が始まって、表示関係の申請がとても楽になりました。
申請はもちろんのこと、添付書類の受け渡しが不要になり、補正もオンラインですることができ、登記完了まで一度も法務局に行くことなく完結できる。まさしく、今新型コロナウィルスの猛威の中で推奨されているオンラインによる業務を先取りしたような方式です。
そんな、いいことずくめの調査士報告方式ですが、唯一
「どぎゃんか、ならんどか」
という作業があります。
それは、PDFファイルにして添付する書類が多数になると、それぞれのPDFファイルに一つ一つ電子署名するのがとても面倒くさいことです。
しかし、今回追加された「署名付きPDFフォルダ」による方法を使うと、複数のPDFファイルを一度に電子署名をすることができるのです。
もうしばらくすると、ワタシは表題登記の申請をする案件があります。
そのとき実際に自分で使ってみて、実際に使えることを確認したあとで、この機能のやり方をホームページにアップするつもりです。
ただ、まだ一つ問題があります。*2
それは、前述の通り電子署名は複数のPDFファイルに一括してできますが、現在の仕様では、作成した「署名付きPDFフォルダ」を申請用総合ソフトに添付する際には、それぞれのフォルダを一つずつ添付しなければならず、一括して添付できるような仕様にはなっていないことです。
そこで、先日サポートセンターに、一括して添付できるような仕様にしてほしいと要望を出しました。
できれば、その仕様になってからアップしたいのですが、要望が実現するのはいつのことになるやら・・・。
*参考に、サポートセンターに出したメールを載せておきます。
「お問い合わせ内容」
申請用総合ソフトでは、今般のバージョンアップでPDFファイルの署名ができるようになりました。
私たち土地家屋調査士は、調査士報告方式により表示に関する登記をオンラインのみで申請することができるようになりましたが、一番たいへんなのは添付書類ごとに複数(登記の種類によっては5〜10個)のPDFファイルを作成し、個別に電子署名をすることです。
今回申請用総合ソフトに備え付けられた「PDFファイルの署名」を使うと、複数のPDFファイルに同時に電子署名ができるようになり、たいへんありがたく思います。
ただし、残念な点が二点ありますので、その点の改良をお願いしたく、メールをしました。
1.「PDFファイルの署名」の画面で、出力先を選ぶと、「フォルダーの参照」という旧式の画面がでること。
2.「ファイル添付」で出る「署名付きPDFファイルフォルダ追加」の画面でも、同じく「フォルダーの参照」という旧式の画面がでること。
申請書を作成する際には、電子署名済みの複数のPDFファイルを添付しますが、この旧式の画面では複数のフォルダを同時に選択することができず、たいへん不便を感じます。
ここまで使い勝手のいいPDFファイル署名ツールですので、是非現在一般的に使われる形式のエクスプローラ(署名対象のPDFファイルを選択する「PDFファイルの選択」では、これが使われています。)を使うようにしていただきますよう、要望いたします。
「フォルダーの参照」画面
「PDFファイルの選択」画面
*2
「申請用総合ソフトで電子署名」を作成していて次のことに気が付きました。
署名付きPDFフォルダのようにフォルダを選択する場合には、「フォルダーの参照」画面にある様式を使わないとできないのではないか、「PDFファイルの選択」画面にある様式を使うとファイルは選択できてもフォルダを選択することはできないのではないかということです。
だから、どうしてもこの仕様にしなければならなかったのでしょうね。(2020.5.17)