阿蘇神社参拝の小さな旅 (2016.8.21)


昨日、熊本地震後初めて阿蘇神社にお参りをしてきました。

阿蘇神社が倒壊してから約4ヶ月。

余震は2000回を超え、数日前に阿蘇地方では震度4の揺れがありました。

このひと月あまり、すっかり日常に戻っていた私は、この震度4という数字に驚き、気になっていた阿蘇神社へお参りをすることにしました。

阿蘇地方は、国道57号線が阿蘇大橋付近で寸断され、家内が仕入れてきた情報によると、その北側を走るミルクロードは常に大渋滞で通らない方がいいとのこと。私たちは、益城町を通って、南阿蘇へ入ることができる唯一の道−グリーンロードを通って行くことにしました。


ひと月余り来ていなかった益城町は、少しですが更地が目につくようになっていました。しかし、車の通りは意外に少なく、「復興の足音が・・・」というにはほど遠い感じです。

そういえば、来週から小学校の新学期が始まるので、避難所になっていた小学校の体育館は閉鎖されて、他の避難所に移転してもらうという話がニュースになっていましたが、避難されている方々はまだ大勢いらっしゃいます。

ただ、こんな中でも、益城町の田園地帯の風景は去年と同じで、一面に広がる水田の青さを見ると、少しホッとしました。


せっかくですから、熊本地震発生後すぐに見に行った断層を見てみることにしました。

断層が真ん中を斜めに横切っている田んぼは、さすがになにも変わっていませんでしたが、


断層を挟んで、そのままの状態


断層が土地の一部だけかかっていた隣の田んぼでは、隆起した部分をのぞいて稲が植えられ、田んぼとして普通に利用されていました。


断層の下の段には稲が育っている


農家の方はたくましい。


断層の上の段はそのままの状態


私たちが一番関心のある境界の問題は、後日解決することになるのでしょうが、長い方の畦をそのまま延長した線が新たな境界線になるような気がします。

地価の安いところですから、隣接地同士が納得できればそれはそれでよしとすべきではないかと思います。


90cmの断層は今もそのままある


グリーンロードは、意外と車が少なく、快適なドライブを楽しむことができました。

前回通ったのは地震後ひと月ぐらい経ったときで、そのときは南阿蘇がどうなっているのか気がかりで、周りの風景を楽しむ余裕はありませんでしたが、今回は周りの景色を充分楽しむことができました。

グリーンロード


グリーンロードを抜けて南阿蘇に入り、高森を経由して根子岳の東側を通り抜けます。

ここは、地震の数ヶ月前にやはり阿蘇神社を目指して仲間と通った道で、とても景色のいいところです。地震後も全く変わった様子はありません。

ただ、土曜日の午後だというのに、車が余り通っていません。阿蘇大橋の崩壊は、こんなところにも影響を与えているのでしょう。

皆さん、阿蘇に遊びに来ませんか。

高森町から阿蘇市へ抜ける道


山の中の道を抜け、阿蘇市に入ると、いよいよ阿蘇神社も間近です。

テレビや新聞でその崩壊した姿を見ているものの、いざ自分の目で見るとなると、なんだか怖い気がします。


阿蘇神社は、はやり無惨なものでした。

駐車場から神社へ向かうと、震災前までそびえ立つように建っていた桜門が、今はぺしゃんこになっています。


駐車場から見た桜門


桜門の周りには工事用の塀が建てられ、そのわずかな隙間に賽銭箱がもうけられています。


桜門に設けられたお賽銭箱


普段は家内のお賽銭で済ませている不届きものの私も、今日は自分でお賽銭を払い、復興をお祈りしました。


拝殿も無惨なものでした。


拝殿前の庭


右に見える傾いて落ちた屋根は桜門の屋根。左側が、拝殿です。

毎年お正月には、この拝殿にお参りをしてきました。


ペシャンコになった拝殿


今は、真新しい雨よけに、お賽銭箱がポツンと置かれています。


お賽銭箱


参道も寂しげです。


参道の様子


参道にある「とり宮」という肉屋で、有名な「バロッケ(馬肉のコロッケ)」を買って、柄にもなくレモネードなんかを飲みながら阿蘇神社を後にしました。


帰りは渋滞覚悟で、ミルクロードを通って帰ることにしました。

そうしたら、阿蘇谷を北側から南側に縦断する道で、偶然にも断層と思われる箇所に出くわしました。

私の前を走っていた車が停車したので、工事だろうと思って停車し、前の車が動き出すのにあわせて進んだところ、道路が急に下がったあと、暫くして今度は上りになりました。

上りの際に左右を眺めると断層が見えました。

阿蘇の前田さんが「益城もそうだが、阿蘇の断層はもっと大きい」と言っていましたが、このことでしょうか。(後で前田さんに聞いたところ、段が落ちたのは液状化のせいではないかとのことでした。)

阿蘇の大断層?


帰りに通ったミルクロードは、熊本から大分に向かう対向車線は夕方になっても多くの車両が通行していました。

ミルクロードを通行する車両


幸い阿蘇から熊本に向かう車線はほとんど渋滞はなく、無事明るいうちに我が家に到着しました。

「今度の正月も、阿蘇神社にお参りに行くばい」「うん」・・・などと、鬼もあきれて笑うのを忘れるような締めの会話で、阿蘇神社参拝の小さな旅は終わりました。

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