福島第一原子力発電所の元所長吉田昌郎さんが亡くなられた。
3.11の東北大震災で、事故を起こした第一原発が暴走するのを必死に止めようとした、吉田元所長を初めとする東京電力の社員とその下請け会社の社員の方々のすさまじいばかりの現場の様子は、すでに一冊の本となって世の中に出ている。
現在第一原発の事故はまだとても収束したとはいえず、また事故の分析やその対応に対する検証もほとんど進んでいない中、再稼働を目論む東電幹部の対応には非難されるべきことは多々あるが、吉田元所長たちの死をかけた行為は、多くの人に知ってもらいたいと思う。
前出した今日の新聞の記事によると、死亡の原因となった食道ガンは、原発事故が影響しているものではないとの見解のようだが、食道ガンが放射線を浴びてすぐ発生するものではないようなので、たぶん本当のことだろう。
しかし、6つもの原発を稼働し続ける現場責任者として、想像を絶する苦労やストレスがあったことは想像に難くない。それが食道ガンの遠因になっているのではないかと思う。
また、職業人として一般人の何倍もの放射線を浴び続けたことも要因の一つだと思う。
私も学生の頃、原子力に携わるものは早く結婚をして、早く子供を作っておいた方がいいと聞いたことがある。原子力産業の従事者は許容線量が一般人よりも大きいのだから当然といえば当然のことだろう。
吉田元所長は享年58歳。
生きられて、今後今回のような悲惨な原発事故をなくすために、これから元現場の責任者として世のため人のために尽くすことのできる人だったと思う。
食道ガンを患われたことは知っていたが、こんなに早くなくなるとは大変残念で仕方がない。
合掌。