XPばどぎゃんしますか?_その4(完) (2013.4.21)


前回は、今あなたが使っているXPマシンを、Windows 7 や Windows 8 にアップグレードする話しの前半部分をお話ししました。

今回は、その後半部分の話しです。

アップグレードをするために必要な新しいOSのソフトを、実際にどうやって手に入れるのかについてお話しをします。

また、ワタシがディスクトップパソコンを使って実際にやったアップグレードについて、簡単にお話をします。

今回は、相当にマニアックな話しになりますので、興味のある方で、かつお時間の許す方はどうぞおつきあいください。


7.OSのソフトをどうやって手に入れるか

今使っているパソコンがアップグレード可能だとわかったら、Windows 7 や Windows 8 のOSが入ったDVDを購入することになります。

これまでのお話しでおわかりかもしれませんが、評判のよろしくない Windows 8 のDVDを購入してXPマシンをアップグレードする選択肢はあまりないと思いますので、これから先は Windows 7 についてのみお話しをします。

(1) DVDの種類

ところで、購入できるDVDには、たとえば同じ 64bit の Windows 7 のDVDでも幾つかの種類があります。どのDVDも中に入っているのは同じ 64bit の Windows 7 のOSなのですが、OSを使用するためのライセンスの違いにより、それぞれ価格が異なります。

Windows のパッケージ版、OEM 版、DSP 版の選び方

簡単に説明をしましょう。

@ 「パッケージ版」

「パッケージ版」は製品版とも呼ばれ、パソコンショップなどで箱に入った状態で売られているものです。インストールできるパソコンに制限はなく、たとえばインストールしていたパソコンが壊れたら、別のパソコンにインストールすることができます。

使い方がわからないときなどは、Microsoft からサポートを受けることができます。

その分、割高です。

A 「OEM版」

「OEM版」は、新しくパソコンを購入したときに既にパソコンに組み込まれているOSです。組み込まれたパソコンだけで使用できるライセンスですので、そのパソコンが壊れたら別のパソコンにインストールすることはできません。

使い方がわからないときなどは、パソコンメーカーからサポートを受けることができます。

パソコンには付属品としてリカバリー用のDVDが付くことはありますが、DVDだけが正規に売られていることはありません。もしそういうDVDが売られているときは、要注意?・・・。

B 「DSP版」

「DSP版」は、Windows のOSに、LANボードや中古メモリなどのパソコン部品を抱き合わせた形で販売されているものです。抱き合わせてある部品が組み込まれたパソコンでのみ使用できるというライセンスですので、たとえばインストールしていたパソコンが壊れたら、別のパソコンにその部品をつけ直せば、新たにインストールすることができます。

使い方がわからないときも、サポートを受けることができないと思って、まず間違いないでしょう。

そのぶん製品版に比べ、安く手に入れることができます。

ところで、DSP版は、抱き合わせの部品をパソコンに「使用できるように」組み込まなくても、ライセンス認証を受けることはできます。

ちなみに、ワタシの購入したDSP版はノートパソコン用の中古メモリ(それも、今時使うことのない256MB)が付いてきましたが、これをディスクトップのパソコンに「使用できるように」組み込むことなどできるはずがありません。

でも、なるべくライセンス違反はしたくありませんので、ディスクトップパソコンの裏蓋にこの中古メモリを貼ってパソコンを使用しています(これもライセンス違反になるのでしょうか。(もしそうなら、使えもしない部品を抱き合わせて販売する方が悪い。)。

これらのDVDはパソコンショップでも手に入りますが、アマゾンや楽天などの通販では、割安で購入できます。

(2) 購入時の注意点

DSP版は、Windows 7 のグレードにもよりますが、10,000円から1万8000円くらいで手に入ります。

Googleなどの検索サイトで、「windows 通販 dsp」などと入力して検索すると、通販のサイトを検索することができます。

なお、楽天のサイトでは Windows 7 のDVD単体を5〜6000円くらいで売っているものがあります。これはデル(Dell)製のパソコンに付属品として付いているリカバリー用のDVDのようです。もしこれを購入するときは自己責任で使う必要があります。


8.アップグレードの一つの例

最後に、ワタシが実際にやったアップグレードの方法を簡単にご紹介します。

もし、自分のディスクトップパソコンでアップグレードすることを考えている方は、参考にしてください。

(1) アップグレード前

アップグレード前のパソコンのスペックは次の通りです。

  OS Windows XP
  CUP インテル Core 2 Duo 1.8GHz
  メモリ 3GB
  HDD 500GB
     CドライブにWindows XP をインストール
     Dドライブ以下をデータ用ドライブとして使用

なお、このXPマシンは、当初250GBのHDDで使用していましたが、去年500GBのHDDを購入し、ハードディスクの内容をそっくり移して、500GBの方を使用しています。

250GBの方は用済みで使用せず、の状態でした。

(2) アップグレード作業

@ Windows 7 のインストール

Windows 7(64bit)のDSP版DVDを購入し、用済みで使っていなかった250GBのHDDをパソコンに再度設置し、このHDDに Windows 7 をインストールしました。

XPと違い、Windows 7 のインストールは大変簡単で、操作するのは数回のクリックとパソコンの名前を入力する程度で、後は自動的にインストールされます。

これで、Windows 7 の入ったHDDからは Windows 7 が起動でき、XPの入ったHDDからはXPが起動できるようになります。

A デュアルブートの設定

その後、Windows 7 が優先的に起動するように設定をし、「EasyBCD」というソフトを使って、2つのOSをメニューから選択して起動(デュアルブート)できるように設定をします。

B Windows 7 の復元点が削除されないように設定

XPとWindows 7 をデュアルブートにすると、Windows 7 の復元点が削除されるようになります。

これを防ぐために、XPから Windows 7 の入ったドライブを見えなくする設定をします。

C ソフトのインストール

XPマシンで使っていたソフトを、改めて Windows 7 の方にもインストールします。

リカバリーを経験されたことがある方はご存じかと思いますが、ソフトをインストールしたあと今まで使っていた状態に設定するのは結構大変です。 XPマシンをリカバリーするときと同じです。

D HDDのパーティション

Windows 7 の入った250GBのHDDでCドライブを縮小し、Dドライブを作成します。

前にも書いたことがありますが、この機能は Windows 7 の機能でも最高の部類に入る機能だと思います。

新しく作ったDドライブは、データのバックアップ領域として利用します。

E データのバックアップ

バックアップ用のソフト(RealSync)を使い、500GBのHDDのDドライブ以下にあるデータを、250GBのHDDのDドライブにバックアップできるように設定をします。

設定が終わったら、バックアップをします。

初めてのバックアップは相当の時間がかかりますが、一度バックアップをしておくと、後は更新されたファイルだけバックアップするようになりますので、日々のバックアップは短時間でできます。

F メモリの増設

3GBのメモリを4GBに増設します。

64bit の Windows 7 では16GBのメモリまで増設できますが、通常のソフトと業務用のソフトを使う分には4GBあれば十分です。

3Dのゲームソフトを使う方は、予算の許す限りメモリを増やすといいそうです。

○ 参考サイト

デュアルブートの仕方や、復元点が削除されないようにする設定の仕方は、次のサイトを参考にしました。

Windows Vista/2008/7/8と旧Windowsとのデュアルブート

Vista/2008/7とXPのデュアルブートでの復元ポイントの問題

大変お世話になりました。

(3) アップグレード後

アップグレード後のパソコンのスペックは次の通りです。

  OS Windows 7(64bit) と Windows XP のデュアルブート
  CUP インテル Coar 2 Duo 1.8GHz
  メモリ

4GB

  HDD 500GB
     CドライブにWindows XP をインストール
     Dドライブ以下をデータ用ドライブとして使用
  HDD 250GB
     Cドライブに Windows 7 をインストール
     Dドライブをデータのバックアップ用として使用

結果、どちらのOSも、パソコン起動時の選択画面から起動できるようになりました。

(4) メリット

アップグレードをして、デュアルブートにすることにより、次のメリットがあります。

@ OSの切り替え

常時は Windows 7 を使用して作業をし、Windows 7 に不具合が生じたときはすぐにXPを使用できる体制ができました。

A データの使用

いままでXPで使っていた500GBのHDDのDドライブ以下にあるデータを、両方のOSで共通で使用することで、どちらのOSから起動しても同じデータを扱うことができるようになりました。

これは、OSを切り替えて使うときにとても便利です。

B データのバックアップ

毎朝パソコンを起動するときに、バックアップソフトを使って、500GBのHDDのDドライブ以下にあるデータを、250GBのHDDのDドライブにバックアップできます。

こうすることで、どちらのHDDが壊れても、すぐ前日までのデータを復旧できるようになりました。なお、2つのHDDが同時に壊れる確率は、ほとんど0に近くなります。

もっとも、東日本大震災のような天変地変が起きれば確率100%で同時に壊れますが、これはデータを離れたところに置くなどの別の方法でバックアップしないと、どうしようもありません。

C 操作性の改善

Windows 7 を使うことで、XPのときよりもパソコンの起動が早くなり、ソフトも軽快に動くようになりました。

これは、意外でした。もう少し早くわかっていれば、もっと早くアップグレードするはずでした。

ワタシは、2年ほど前からノートパソコンで Windows 7 を使っていますが、使い始めたときの第一印象が「XPよりも使い勝手が悪い。」というものだったので、このノートパソコンは研修会のときに使う程度でした。

今思うと、もっと使い込んでいれば、 Windows 7 のよさがわかったのにと後悔しきりです。

(5) デメリット

デメリットが無いわけではありません。

@ ソフトの不適合

64bit の Windows 7 では、動かないソフトや不具合の出るソフトがあります。

ただし、そのときはXPで起動し直すことで、そのソフトを利用することはできますので、大したデメリットではありません。


今回OSを Windows 7 にアップグレードして、作業効率が上がるとともに、常に頭を悩ませていたデータのバックアップも簡単にできるようになり、大変助かっています。

ワタシのように、お金はないが時間はいっぱいあるという方、あなたのXPマシンを自分でアップグレードしてみませんか。

楽しいですよ。

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