前回の記事で、ワタシは次のように締めくくりました。
「ですから、法務局の内部文書は正しいのです。
なぜ、法務局がワタシたち代理人に対して、これを公開しないのかが不思議です。
自信を持って、情報公開ばしてはいよ。 」
他のサイトを見てみると、直接法務局に対して公開の要望を出している方がいますが、法務局からは何の反応もないようです。ということは、法務局は内部文書を公開するつもりはないのでしょう。
それに、法務省は個別の電子署名が必要という見解のままのようですので、法務局としても表向きは個別の電子署名は必要という姿勢なのでしょう。
個別の電子署名は原則必要だが、無くても問題にしない。・・・・という取り扱い。
な・ぜ・か。
今日は、その辺のことを少し考えてみました。
梅雨空で、外に遊びに行けない今日この頃、頭を使った運動もたまにはいいものです。
ワタシは知りませんでした。
むしろ、電子文書として広く普及している原因は、PDFファイルが編集できないためだと思っていました。
例えば、ワードやエクセル、不動産調査報告書作成ソフトなどで作った文書ファイル(画像ではないファイルという意味です。)をPDFファイルにしたものは、後で誰でも編集することができます。
そのときに、特別のソフトは必要ありません。
一例をご紹介しましょう。
ここに、次のようなPDF文書があります。
この中の「あいうえお」という文字を、「かきくけこ」とう文字に入れ替えてみましょう。
メニューから、 「TouchUpテキストツール」を選んでクリックし、文字が書き込まれている部分をクリックすると、青い線で囲まれます。
その中の、編集する部分をカーソルで撫で、「Delete」キーをクリックすると、
その部分が削除されます。
次に、キーボードから、「かきくけこ」と入力すると、
PDFファイルは修正されました。
このように、PDFファイルは簡単に編集をすることができます。
ところで、PDFファイルの編集に関しては、こんなサイト もあります。興味のある方はどうぞ。
PDFファイルが編集できるのは、文書を作った側からすれば困ることもあります。
では、どうすれば編集をできなくすることができるのでしょう。
(1) PDFファイルにするときに、セキュリティの設定をする。
アクロバットに備わった機能として、作成した文書を編集ができないようにパスワードを設定する機能があります。
例えばワードからPDFファイルを作る場合、「印刷」を選択して、
「Adobe PDF」を選び、プロパティで「Adobe PDF セキュリティ」を次のように設定します。
この設定で、PDFファイルに変換すると、パスワードが設定され文書が保護されます。
パスワードが設定された文書名には「(保護)」という文字が表示され、鍵の画が現れます。
以後このPDFファイルは、パスワードを入力しないと編集ができません。
(2) PDFファイルに電子署名をする。
PDFファイルを編集ができないようにするためのもうひとつの方法が、電子署名です。
作ったPDFファイルに、個別に電子署名をすると、以後編集ができなくなります。
電子署名のやり方は、皆さんの方がよく知っていると思いますので、ここで詳しく説明はしません。
そして、PDFファイルに電子署名をすると、
編集をしようとしても、
できません。
編集されたくなければ電子署名をすればいい・・・ということです。
ところで、電子署名をする目的は、なりすましの防止と否認の防止です。
送られてきた電子ファイルが電子署名をした本人が作成したものであることを確認し、電子署名をしている以上あとで俺は知らんと否認されることを防止するためのものです。
それで、電子ファイルを受け取る側では、一括で複数の電子ファイルに電子署名されたものであっても、これらを受け取りその電子署名の有効性が確認できれば、その時点でなりすましの防止と否認の防止という電子署名の目的は達せられます。
受け取る側にとっては、そのあとは、送られてきたそれぞれの電子ファイルの内容が問題であって、個々の電子ファイルに電子署名があろうとなかろうとあまり問題ではないでしょう。
そのため、最初の疑問である
「個別の電子署名は原則必要だが、無くても問題にしない・・・・という取り扱い。」
ができるのではないかと思います。
個別の電子署名が必要ないという内部文書は、あくまでも、受け取る側の都合のようです。
それで、公開しないのでしょう。
そして、送る側のワタシたちにとって重要なのは、この取り扱いでは、送るときは電子署名がしてある電子ファイルになるかもしれませんが、受け取られたあと個々の電子ファイルとして取り扱われた時点で、「電子署名のない電子ファイル」になるということでしょう。
ところで、ワタシたちが送信した申請書類は、登記後に電磁的記録に保存されることになっています。
そして、不動産登記法の改正で、その保存期間が30年に延長されました。
ということは、一括署名で送信した添付情報は、30年もの間電子署名の無いままで保存されることになります。
だから何なの。
・・・といわれればそれまでですが、編集できる状態で30年間も保存されるのは、理屈ではなく、感情的に嫌ばいという感じがします。
ですから、少し面倒でも個別に電子署名をしたものを送りたかよね・・・というお話です。