なぁんか、最近多くの方がオンライン申請をやるようになったので、天の邪鬼なワタシとしては、引きこもり気味でした。
で、気がついてみたら、半年以上も一言も言っていない。
腹がふくれたまま正月を迎えるのも健康に悪いですので、久しぶりに一言です。
さて、「井の中の蛙」さんがブログで、
「20年以上の期間と1兆円をかけた登記情報システムは、電子情報として送信した申請情報を電子情報として利用することができない(検索機能もない)システムのようだ。」
と書かれたのを見て何のことだと思った翌日、日調連と日司連から通知書が出されました。
オンライン申請した建物表題登記とその後オンライン申請をする所有権保存登記をどう繋ぐかという問題で、表題登記がオンライン申請でなされたかどうかを、表題登記の登記完了証で疎明させるという何ともアナログ的な法務省の対応に、全面的に協力をしてほしいという内容です。
オンライン申請システムはデジタルシステムです。
ブックレスの登記簿もデジタルシステムです。
ワタシは、デジタルシステムの最大のメリットの1つが、データの検索機能ではないかと思っています。これまで、アナログな紙の世界では、膨大なデータから目的のデータを捜すときに、多くの手間暇を掛けていました。デジタルの世界では、クリック1つで目的のデータを検索することができます。データ量が膨大になればなるほど、このメリットを享受することになります。
ですから、ワタシは登記所ではオンライン申請されたものかどうか、当然にワンクリックで検索できるものと思っていました。
今回の通知書に添付された資料を読んでみると、登記完了証のダウンロードから32日間しか検索できないとのことですので、二ヶ月前に申請された登記がオンライン申請によるものか、紙申請によるものか検索ができないことになります。
デジタルの最大のメリットの1つである検索機能を付加しなかったこのシステムが、どういう設計思想で作られたのか、唖然としてしまいます。
ところで、通知書に添付された資料でも明らかなように、法務省は日調連と日司連に協力を要請するのと同時に、内部では「受付帳にその旨を表示したり、オンライン申請の申請書の写しをファイリングして、すぐにわかるようにしておけ。」とか、「登記完了証のダウンロード後32日以内なら、オンライン申請かどうか検索ができるので活用しろ。」とか指示しています。
後者のやり方は、明らかにデジタルな方法です。これを活用しない手はありません。
実際問題として、多くの建物について、表題登記が完了してから遅くとも1月以内には保存登記が申請されるでしょう。ですから司法書士は、租税特別措置法の適用条文を記載すれば、あとは登記所が32日以内だけ機能するこの検索システムを使って、前提の表題登記がオンライン申請かどうかを確認することができます。
こういうやり方をしてこそ、多額の税金を使って構築されたオンライン申請システムが活用できるというものでしょう。
そして例えば、表題登記だけオンライン申請でされていて、数ヶ月或いは数年後(この減税措置がいつまで続くか疑問ですが・・・。)に所有権保存登記をするときは、協力要請にあるように登記完了証を添付すればいいと思います。
オンライン申請を利用する者として、現行のオンライン申請システムの限界を、土地家屋調査士や司法書士がカバーしていくのはやむをえないことでしょうからね。
もっとも、そのとき登記完了証が残っているかどうか疑問ではありますが・・・。
ただし、土地家屋調査士には登記完了証を保存しておかなければならない義務はありませんので、念のため。(^_^)
ところで日調連は、何を根拠に、受付番号を保存し提供する義務を、ワタシ達土地家屋調査士に課そうとしているのでしょうか?