敵も然る者 (2008.12.24)


先日、財務省から「平成21年度税制改正の大綱」が発表されました。

普段は、こういうものに、とんと関心がないのですが、今回だけは建物表題登記が絡む減税措置が講じられるとの話しですので、早速見てみました。

まず目に付いたのは、土地の売買による所有権の移転登記の登録免許税が、あと2年間は1,000分の10のままであることです。

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一 住宅・土地税制
9 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次のとおり、平成21年4月1日以後に引き上げることとしていた税率を2年間据え置き、平成23年4月1日から段階的に引き上げることとする。
(1) 土地の売買による所有権の移転登記(現行1,000分の10)
  平成21年4月1日から平成23年3月31日まで 1,000分の10
  平成23年4月1日から平成24年3月31日まで 1,000分の13
  平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 1,000分の15

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これは、助かります。来年の年度末は、平穏に仕事ができそうです。


さてさて、建物表題登記が絡む減税措置の記載を見つけようと必死に探しますが、中々見つかりません。やっと探し出すと、21ページある大綱の20ページ目にひっそりと記載されていました。

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九 その他
27 租税特別措置の縮減等
(10) 電子情報処理組織による登記の申請の場合の登録免許税額の特別控除制度について、適用対象となる建物の所有権の保存登記をその表題登記も電子情報処理組織を使用して申請されたものとした上、その適用期限を平成23年3月31日まで延長する。

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やはり、租税特別措置の「縮減」になるんですね。

その前に出されていた自民党の「平成21年度税制改正大綱」でも、「上」が「うえ」になっていることを除いて全く同じ文言が記載されていました。ですから、こうなるだろうとは思っていましたが、現実に財務省から発表されると、実感が湧いてきます。

ワタシは以前このコーナーで、法務省が希望する建物表題登記の減税案に触れ、建物表題登記をオンライン申請すると建物所有権保存登記に更にプラスされて減税されるのではと、期待を込めて書きましたが、どうもそれは私の甘い期待と思いこみだったようです。

この財務省の大綱では、「建物表題登記をオンライン申請でしないと、建物所有権保存登記をオンライン申請しても、減税はされない。」という内容になります。まぁ、減税額の総額を増やさずに土地家屋調査士の尻を叩くには、一番いい方法のようで、さすがに官僚は頭がいいと感心しました。

敵も然る者です。


そこで、土地家屋調査士の皆さんはどうしますか?

このまま、オンライン申請に背を向けて過ごしますか?

仕事を組んでいる司法書士から尻を叩かれるまで、そのままでいますか?

多くの土地家屋調査士の方が、オンライン申請をはじめたら紙申請には戻りたくないと言っている事実をご存じでしょうか。


皆さん、これを機会に、オンライン申請を始めてみませんか。

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