先日、久しぶりにオンラインで、登記識別情報の有効証明書を請求しました。
同時に2通も。
最近は、オンラインでも割と短時間で証明してくれます。夕方4時過ぎに申請して、5時前には証明書を取得しました。
早速ダウンロードをして証明書を見てみると、信じられないような記載です。
2通とも、
「上記の登記について平成20年10月○何日受付第○○号の請求により提供された登記識別情報は,正しい登記識別情報と一致しません。」
一瞬、目を疑いました。
「正しい登記識別情報と一致しません。」てや?
売主さんは、田舎の普通のおじさんとおばさんです。「田舎の普通のおじさんとおばさん」だからといって、登記識別情報を失効させない保証はないのですが、まずありえないケースです。
というのも、不動産は3回に渡って相続登記で取得した物件で、うち2回は権利書があり、最後の相続登記のときにオンライン指定庁になったため、1回分だけ登記識別情報があるというものだからです。本来なら有効証明書を取らないでもいいような案件ですが、久しくオンラインでやっていなかったので、たまにはやってみるかと思って気楽に申請したものでした。
ですから、この結果に
「えっ?何故?そんなバカな。」
と、驚いてしまいました。
落ち着いてよくよく考えてみると、2人の分を同時に申請したので、登記識別情報を入れ違えて申請したのかもしれません。あるいは、登記識別情報を2通とも手書きで写してきたので、写し間違いかもしれません。
それにしても、2通とも?
はい。慌て者のワタシにはよくあることです。
「ん〜〜。600円どぶの中かぁ。」
しかし、転んでも只では起きないワタシです。どうにかできないかと思い、証明書の文言をじっくり読んでみました。
この証明文は、どうも、登記識別情報が失効していないことを前提にして、書かれているようにも読めます。もしそうなら、未執行証明書を請求したのと同じ効果です。
さっそく、有効証明書の文言について調べてみました。
不動産登記事務取扱手続準則の第40条に、次のような記載があります。滅多にお目にかかることのない条文ですから、少し長くなりますが引用してみましょう。
(登記識別情報に関する証明)
第40条 登記官は,令第22条第1項に規定する登記識別情報に関する証明の請求があった場合において,提供された登記識別情報が請求に係る登記についてのものであり,かつ,失効していないときは,請求に係る登記を表示した上,「上記の登記について平成何年何月何日受付第何号の請求により提供された登記識別情報は,当該登記に係るものであり,失効していないことを証明する。」旨の認証文を付すものとする。ただし,有効であることの証明ができないときは,次の各号に掲げる事由の区分に応じて,それぞれ当該各号に定める認証文を付して,有効であることの証明ができない理由を明らかにするものとする。
(1) 請求に係る登記があり,かつ,当該登記の登記名義人についての登記識別情報が失効していないが,当該登記の登記名義人についての登記識別情報と提供された登記識別情報とが一致しないとき。「上記の登記について平成何年何月何日受付第何号の請求により提供された登記識別情報は,正しい登記識別情報と一致しません。」
(2) 請求に係る登記があるが,当該登記の登記名義人についての登記識別情報が通知されず,又は失効しているとき。「上記の登記に係る登記識別情報が通知されず,又は失効しています。」
(3) 請求に係る登記があるが,請求人が登記名義人又はその一般承継人であることが確認することができないとき。「別添の登記に係る平成何年何月何日受付第何号の登記識別情報に関する証明の請求については,請求人は,請求人としての適格があると認められません。」
(注)別添として,請求情報又は請求情報を記載した書面を添付する。(4) 請求に係る登記がないとき。「別添の登記に係る平成何年何月何日受付第何号の登記識別情報に関する証明の請求については,請求に係る登記はありません。」(注)別添として,請求情報又は請求情報を記載した書面を添付する。
(5) 前各号の場合以外の理由により証明することができないとき。これらの例にならって,例えば,登記手数料の納付がないなど具体的な理由を認証文に示して明らかにするものとする。
条文を読むと、今回は但し書きの(1)に当たるケースです。
やはり、登記識別情報は失効はしていないということがわかりました。
それなら、登記申請の際に、2つの登記識別情報を正確に写し直し、封筒に入れ違えないようにすれば大丈夫です。うちの事務員さんは優秀なので、間違えることはありません。
600円は、どぶから復活です。
ところで、親しい司法書士の方からたまたま聞いたことですが、最近ワタシの周辺でブーム(?)の未失効証明書は、登記所で証明文を手書きで入力するために、結構手間がかかって大変だとのことです。
そういえば以前、「未執行証明書を請求して、担当官から嫌みを言われた。」と、仲間の司法書士が言っていましたっけ。
今の時代にそんなことがあるのかなと半信半疑でしたが、この条文を読んで納得しました。
但し書きの(5)に当たるんですね。
「・・・具体的な理由を認証文に示して明らかにする・・・」
もっとも、未執行証明書の証明文は定型ですので、単語登録をしておけば簡単に入力できます。嫌みを言った担当官は、もしかしてパソコン初心者?
おかげさまで、今回は大変勉強になりました。
「禍を転じて福となす」?
「失敗は、成功の基」?
あぁ。今日はどうも、ピタッとくる諺が出てこない。(^_^;)