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今回の調査士報告方式の導入に関しては、不動産登記令も不動産登記規則も改正されていません。
調査士報告方式は、前出の「依命通知1」で規定された方式です。
では何故依命通知だけで、このような取扱いが可能になったのか見てみましょう。
なお、以下の意見の部分はあくまでもワタシの私見です。
この取扱いが可能なのは、不動産登記令第13条第1項と第2項( )の解釈が変更されたからです。
1.委任状などの取扱いの変更(同条第1項)
これまでは、委任状など申請人(法人の代表者を含む)が作成した紙の添付書類は、PDFファイルにして添付することはできないとされていました。
それは、同項に規定された括弧書きに
「(申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの並びに土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図を除く。)」
という文言があるためです。
今回の依命通知では、この括弧書きの中身について、次のように説明されています。
「なお,令第13条第1項の『申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの』とは,代理人による申請の場合にあっては当該代理人が作成したもののみが該当するものと解されることから・・・」(依命通知1の2−(1))
歳を取ってもうろくしたせいか、ワタシには何故このような解釈ができるのかどうもわかりません。
しかし、この解釈で、今まで除外されていた委任状など申請人が作成する紙の添付書類も、代理人がPDFファイルにして、代理人が電子署名したら、申請書に添付してもいいということになりましたので、ありがたいことではあります。
最初からこういう取扱いであれば、少なくとも表示の登記だけは、特例方式を待つことなくオンライン申請が普及したのにと思うのですが、そう思うのはワタシだけでしょうか。
2.原本提示の取扱いの変更(同条第2項)
同条第2項は、
「当該申請人は、登記官が定めた相当の期間内に、登記官に当該書面を提示しなければならない。」
と規定されています。
「提示しなければならない。」です。
しかし、依命通知1の前文では、この部分について次のように説明がなされています。
「同条第2項に基づき,登記官が,申請人に対し,当該書面について相当の期間を定めて提示を求めるかどうかは,登記官の裁量に委ねられているものと考えられます。したがって,
(中略、括弧内は引用者が追記;表示の登記の代理を業とする調査士が代理人としてオンライン申請する場合は)
原則として,添付情報の基となった書面の提示を求めない取扱いとすることによって,電子申請手続の利用の促進を図ることができるものと考えられます。」
・・・提示させるかさせないかは、登記官の裁量だということらしいです。
条文を素直に読むと、ワタシは、登記官がどのように判断しようとも、必ず「提示」させなければならないとしか読めないのですが・・・。
ところで、特例方式が始まったときもそうでしたが、調査士報告方式の場合も「電子申請手続の利用の促進を図ること」が至上命令となっているようです。
大義名分があれば、こんな解釈ができるもんなんですね。
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