建物表題登記の減税措置? (2008.10.5)


最初にお断りをしておきますが、今日取り上げる内容は、あくまで「法務省の要望」であって、決定された事項ではありませんので、そのつもりで読んでください。



財務省のホームページにアクセスし、 「平成21年度税制改正要望事項」 の「法務省」をクリックすると、登録免許税に関する法務省の要望事項がアップされています。

その「電子申請利用促進のための不動産登記及び商業登記の登録免許税に係る軽減措置の延長及び拡充要望」をクリックして内容を見てみると、「要望の内容」の欄に次のような記載があります。

「不動産登記及び商業登記について,オンラインによる登記申請の利用促進を図るため,当該登記の際に納付すべき登録免許税を軽減する措置(租税特別措置法第84条の5)を2年間延長する。
また,建物の表題登記をオンラインにより申請した不動産について,所有権の保存の登記をする場合は,当該登記の登録免許税の額から一定の額を控除する特別措置を新たに新設する。」

前段は、現在施行されている登録免許税の軽減措置を、2年間延長して欲しいということです。減税というインセンティブのお陰で、司法書士のオンライン申請の件数が飛躍的に伸びたことを考えると、当然の要望でしょう。


注目すべきは、後段です。

これは、建物表題登記をオンライン申請したときは、建物所有権保存登記の登録免許税を減税するようにしてもらいたい、という要望です。

表示の登記そのものは登録免許税がいらないか、若しくは低額ですので、表示の登記だけで減税のインセンティブを与えることは不可能です。法務省は、表示の登記のオンライン申請件数を伸ばすために、苦肉の策でこういう手を思いついたのでしょうが、こういう減税の仕方を提案するとは、夢にも思いませんでした。


ただし、兼業者ならともかく、土地家屋調査士専業の方が果たしてこれで積極的にオンライン申請をするようになるのでしょうか。そう思うのは、次の図式から、土地家屋調査士には減税のメリットが何もないからです。

   調査士が、オンラインで建物表題登記をする。
        ↓
   建物所有権保存登記の印紙代が減額される。
        ↓
   建物所有権保存登記にかかる費用が安くなる。
        ↓
   司法書士が、お客さんから感謝される。

むしろ、司法書士の方にメリットがあります。

ということは、仕事を組んでいる司法書士から、建物表題登記をオンライン申請で出すように強く要望されることは考えられます。或いは、住宅会社から、仕事を回す条件として、オンライン申請をするように要求されるかもしれません。

また、近頃のお客さんはインターネットでいろいろ情報を得ていますので、「先生、今度家を建るんですけど、先生のところは、オンライン申請ですよね。」って、聞かれるかもしれません。そのときは、

「はい、できます。」

と言いたいですよね。

とすると、この減税が実現すれば、積極的にするか、或いは仕方なくするかは別として、土地家屋調査士にとってはかなりのインセンティブになるかもしれません。


ところで、建物表題登記だけ減税の対象にしても、他の登記にメリットがなければ、表示の登記のオンライン申請件数は伸びないのではないか、と普通は思うでしょう。しかし、先に挙げた「電子申請利用促進のための不動産登記及び商業登記の登録免許税に係る軽減措置の延長及び拡充要望」の下の方を見てみると、「租税特別措置による政策の達成目標の実現状況等」に、次の記載があります。

「インセンティブ措置のない登記(名義人住所変更,抵当権の抹消,役員の変更)の申請についてもオンラインによる申請がされており,今後も増える傾向にある。」

法務省は、この成功体験に基づいて、「登記の種類を限定して減税しても、減税されない他の登記のオンライン申請も増える」と、踏んでいるのでしょう。


さて、予想される減税額ですが、建物所有権保存登記は既に租税特別措置法第84条の5の対象となっており、オンライン申請をすると、今でも登録免許税が10分の1(上限5000円)減税されます。

これを更に減税しようというのですから、もしかしたら次のようになるかもしれません。

  1. 建物表題登記をオンラインで申請した場合は、建物所有権保存を紙で申請したときも、登録免許税の10分の1(上限5000円)を減税
  2. 建物表題登記をオンラインで申請し、更に建物所有権保存もオンラインで申請した場合は、登録免許税から定額を減税

これはあくまでも、ワタシの希望的な予想ですが・・・・。

しかし、もしこうなれば、建物表題登記をオンライン申請で出さないデメリットは、とても大きいですよね。

今まで、「表示の登記には何のメリットもないので、オンライン申請はしない。」と高をくくっていたあなた。法務省は、形振り構わず、オンライン申請件数の増加に向けて、あれやこれや手を打ってきています。

ですから、早めにオンライン申請に対応できるようにしておいた方が、精神衛生上もいいかもしれません。


最後に、念のため書き添えますが、今回ご紹介した内容は、あくまで法務省の希望であり、決定事項ではありません

ただし、私見ですが、政府のオンライン申請に対する異常なまでの積極的な姿勢を見ていると、この減税措置は実現するのではないかと思います。

そうなったとき、あなたはどうします?

このページのトップに戻る


| メニュー |